第39話
「アアッ」
思い出した、
「五十子くん」
「はい…?」
まだ涙目の五十子くんと目を合わせる。それを見られているとは知らないで。
「社宅のこと教えてくれた時さ、何とか不動産って」
「社宅は
「「……」」
「「それだ!!」」
えー!? ちょっと待ってどういうこと? 不動産? どういうこと?
無関係ってことも有り得る…?
…珍しい苗字だし無関係ってことはないか…。というかそもそも私、家の合鍵を渡した覚えはない。なのに此奴は当然のように家の出入りをしていた。
どうやってか、私の鍵を持ち出しているとばかり思っていたけれど鞄や家の中が荒らされた形跡などこれまでの三日間、知恵熱で家の中に一日中居た昨日を含めたって一度も、怪しいと思わなかったくらい、見ていない…。
鍵はどこかとか、聞かれもしなかった。
家賃のことは言われた、聞かれた? 気がする。
「その時どうしてもっと突っ込まなかった…あ、そっか、『しね』って言われて」
「前坂さん? 物騒なこと言わないでくださいよ」
違うよ、もう言われたのだよ五十子くん。君の先輩はね。
兎にも角にも名前を隠していたのは不動産と関係があるかもしれない。
ただ、どうして私の家なのか。それはまだ解らない。
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