第29話

寝癖で突散らかったロブはいつも通り。顔色は最悪。理由は男が言っていた発熱と—これから判るだろう。



首にはやはり長ねぎ。これは疑ってもいない。どう考えてもおかしいけれどもっとおかしい違和感があったから。



裸足、に丁度膝が被る丈の灰色のハーフパンツ。


立ったことにより緩さが発動し、脱げかかっていて、両手で押さえてはいるが腰から覗くのは今話題の白いパンツ。想像した通りのあいつパンツだった。



そうして白いTシャツ。ぶかぶかだ。でも、そんなこと気にならなかった。何故なら…



Tシャツから覗く四肢に朱い、虫刺されのような痕が遺されている。




それも、無数に。



「??」



取り敢えず、強めに目を擦ってもう一度見てみた。



変わらない。



自分の顔色など確認する余裕もない。だって判る。

紛れもなくこの目に映る朱に反して蒼白だもの。



ゆっくりと、ペラッとチラッと白いTシャツをお腹の方から捲ってみた。



お腹に特にこの謎の虫刺されはない。よし、もう少し捲ろう。



どんどん捲り上げていくと、右胸の下に一箇所だけ、それはあった。



「どうして…ぁ…見える所にばかり」



下着で隠れた下には痕はなかった。




痕を辿って背中の方も見ようと後ろを振り返る。




「は……」




ただの無地の白Tだと思い込んでいたそれには、背面にでかでかと“ 俺のもの。”と描かれていた。

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