第17話
「いつもは前髪上げてるから。こうしたら思い出せそう?」
ほら、と。
イクヤは前髪に手を掛けて、後ろへ持っていった。
サラ、と落ちる髪が蟀谷に当たって。
記憶にあるあのアイドルと同じ、蟀谷の黒子が見えた。
「黙って、嘘吐いててごめんね」
「え、だってか、顔はいつものイクヤのまんまなのに」
「まさか"こっち"の俺を好きになる人がいるとは思わなかったから嘘吐いてたんだけど。因みに啓くんは事務所の先輩」
状況が読み込めず、目をテンにしたまま立ち尽くすウチを目にして、イクヤがふと、目元を緩めた。
――――あ。
今の顔。
「まじかよ……」
「あまり驚かれないかと思ってた。あとオタクなのは本当だからそこは嘘吐いてない」
前髪を下ろしたイクヤはもう一度ごめん、と謝った。
でもそんなの、耳に届くはずがなかった。
イクヤが芸能人とか。
アイドル、とか。
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