第13話
「ハァ!?誰が!別に泣いてなんか――っ」
勢いよく顔を下げる。
イクヤは何も続けない。
握りしめた拳がぶるぶる震えるのは、イクヤに腹が立ってるから。
ムカついてムカついて、仕方がないからだ。
ウチには、イクヤがオタクだろーがオタクじゃなかろーが何が好きだろうが関係ない。
だからといって、無視されるのは、いやだ。
ムカつく。
イクヤは黙った後で口を開いた。
「啓くんの」
「……あ?」
「啓くんのサイン…。貰って来たら機嫌直る?」
「?何言ってんのアンタ」
「貰って来る。好きだって言ってたから」
意味がわからない。
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