第9話

理由なんてお見通しだ。




あの野郎。



居留守使ってやがる。




多分言ってたアニメでも始まったんだろう。腹立つ。





我武者羅になって玄関のドアノブを引いてみたが、頑なに鍵の掛かった否定の音しかせず。



ウチはスマホを取り出すことにさえ面倒が腹を立て、イクヤの部屋がある二階の窓の真下に回った。


黄緑の庭を踏ん付けて窓を見上げる。




そこでも、いかにも鍵が掛かっていそうな窓。




カーテンが閉まっているが明かりが漏れている様子はない。


どーせ暗い中でヘッドフォンでもして観てんだろ。あのオタク腰抜け野郎。





「イークヤー!」




腹に力を入れて叫ぶ。


期待もしていないが応答もない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る