第23話
そのとき、彼の声だけが、教室に堕ちた。
「誰?俺より先に真実泣かせたの…」
息を呑む周りを横目で見て、彼はあたしに近付いた。
そして、あたしの腕を強く引く。
「い、やだ…っ…」
「何で?」
「……どうせなら男子に生まれてきたら…」
「……っ…」
ギリ…と、歯軋りの音が聞こえた。
「こんな細い腕のどこが?」
「痛っ」
そう言ってあたしの腕を自分の方に寄せる。
「こんな細いくせに、人のことばっか…」
「……?…」
腕を握る力は強まって、顔を上げて見た彼の目元には前髪がつくる影がある。
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