第22話
ガラッ
教室はあたしの突然の踏み込みに静まるわけでもなく、一瞬の間はあったもののまた騒ぎ出した。
「真実王子どこ行ってたの?」
「あ、屋上、に…」
高橋くんの方が見れないあたしに、皆は気付かない。
高橋くんは教室の一番端の席に座ったまま、綺麗な顔に頬杖をついていた。
そんな微妙な空気の中で、騒ぎの中から誰かが言った。
「はー…。ほんと真実王子って、女子にみえなくなっちゃうよね」
――――――……
……あ…
ズキ、と、心が、痛む。
好きだという気持ちに気付いてから浮かれていた。
それを恥ずかしいと思った。
そんなにハッキリ言ったらだめだと笑われるかも、しれないのに。
羞恥に紅く染まる頬と対照的に、溜まっていくのは涙。
泣くなと自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、気持ちとは裏腹に涙が零れそうになる。
『女子じゃないみたい』なんて、今までそんなに気にならなかったのに。
今はこんなにも心が痛いなんて、ばかだ。
じわ…
「……っ…」
あたしの眸に溜まるものを見た周りは、静まり返った。
「……」
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