王子の反対
第21話
「真実、頑張れ」
「うん」
「…あ。私先生に手伝いで呼ばれてるんだ」
「え」
「ちょ、忘れてた、行ってくる!またあとで!」
「は、はい!」
急いで過ぎ去った嵐の後、あたしは一人、教室に入ろうとドアに手を伸ばした。
そんなあたしの耳に入ってきた声。
一つは、騒ぐ女子の声。
もう一つは、高橋くんの声、だった。
……ん…?
何故か、変な予感がした。
「なあ、俺が真実より投票率高かったらどうするの?何か貰ってもいいの」
「た、健くんの欲しい物?」
一人の生徒が声を上ずらせて問うて、それに対して彼がクス、と笑ったのが分かる。
「――…真実、もらってもいい?」
……は…?
高橋くんが中でどういう顔をしているのかは分からない。
ただ、女子の大きな奇声だけがあたしの頭に響いた。
「あれ、真実王子?教室入らないの?」
「…え、わ、ちょ…!」
何も知らないクラスメイト。
背中を押されて開けてしまった扉。
さて、誰かが助けてくれる?
答えはノー。
あたしはどうなる……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます