王子の反対

第21話

「真実、頑張れ」


「うん」



「…あ。私先生に手伝いで呼ばれてるんだ」


「え」


「ちょ、忘れてた、行ってくる!またあとで!」


「は、はい!」







急いで過ぎ去った嵐の後、あたしは一人、教室に入ろうとドアに手を伸ばした。


そんなあたしの耳に入ってきた声。




一つは、騒ぐ女子の声。



もう一つは、高橋くんの声、だった。




……ん…?


何故か、変な予感がした。





「なあ、俺が真実より投票率高かったらどうするの?何か貰ってもいいの」





「た、健くんの欲しい物?」



一人の生徒が声を上ずらせて問うて、それに対して彼がクス、と笑ったのが分かる。






「――…真実、もらってもいい?」







……は…?



高橋くんが中でどういう顔をしているのかは分からない。


ただ、女子の大きな奇声だけがあたしの頭に響いた。







「あれ、真実王子?教室入らないの?」


「…え、わ、ちょ…!」



何も知らないクラスメイト。


背中を押されて開けてしまった扉。



さて、誰かが助けてくれる?



答えはノー。





あたしはどうなる……?

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