第12話
「あ―…、でも」
「?」
「眼鏡割れたから、明日から――」
そう言いかけてしょうがないね、と妖しく微笑む。
「――…」
バチンッ
頬を思い切り叩いて、変な気を振り切った。
凄い、何だかこの人は凄い、けど。
きっと、こういうのを誘惑と言うんだ。
危ない、危ない。
「……」
「はい、手当てだよね」
一度前髪を上げるのをやめて、額に落ちた前髪は、サラ、と揺れた。
それをそっと上げる。
彼は、何も言わずに黙って視線を下に落とした。
上から見た伏せた瞼がとても綺麗だった。
「平気?」
痛いかなと思って消毒液を塗りながら尋ねる。
「うん、へーき…」
「はい、完了!」
ポス、と、中腰になっていた姿勢を元に戻す。
「……ありがと」
「!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます