第11話

眼鏡を取って


前髪を上げて



目を、伏せて。




君は、長い睫毛を見せながら。



「…大丈夫?」



そう小さく口元だけで笑って、甘く低い声で囁いた。


甘く低い声はあたしの脳裏に響く。




そんな、


そんな声の持ち主は――…





「…は、誰、ですか?」





「は?」




――もう、弱気じゃない。


まるで別人。





ドキ…



「あー…。コレ、ね…」




口調が強くなった。





「秘密にしてね」





ドキンッ…



「え」




こんなに格好良い男子なんて見たことなかったし、見ることもないと思っていた。


本当に興味だってなかった、けどただ、目の前のたった一人、に。






目が奪われて仕方なかった――…。

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