第7話

「は、眼鏡罅(ヒビ)入った…」







這いつくばって相手の顔を覗き込むような体勢をしたあたしの瞳に写ったのは。





サラサラそうな黒髪に。


ぐるぐるの、眼鏡、ではないのだけれど。



黒縁の眼鏡をかけた男子だった。





どっかで見たような。



少し考えて、またハッと立ち上がる。




「ごめんなさい!大丈夫?」



そう言って差し伸べた手。




「あ、すみません」


誤りながら、素直に握られた手。



手の大きさで男子だということを実感する。





「あ、ああ!?」





「…?」



あたしによって突然発せられた大きな声に怯んだ彼。





「ど、め、眼鏡が…!」




「あー…、はい」

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