性格、反対

第6話

そこで“せめてニ個ずつ持とう”なんて考えは、あたしの頭の中には浮かばなかった。


五個ずつ持ったって、五往復はしなくてはならない量だった。



幸い距離はそんなにも遠くはなくて、体育倉庫に沿って角を曲がって少し歩けば良い程度。



「はー…。よし、あと一回」




そう、またいらない独り言を言ってコーン持ち上げる。



「あと少し、あと少し」


ニヘラ、と笑って蟹股で歩くあたしは、客観的に見て“変な男子”だったかもしれない。




そうしてそのまま角を曲がろうとした、その時。





「え、」





あたしではない、他人の声がした。


「へ?」



けど、もう遅かった。




勢いよく何かにぶつかる感覚がしてすぐ、両腕に抱えていたコーンはその反動でぶちまけられた。




「痛――ッ」



あたしは、角の向こう側から来た誰かとぶつかり、足を滑らして転んだ。



いや、ひっくり返った…。




途端に赤いコーンは宙を舞い、あたしとその“誰か”に圧し掛かったのだ。





「―……ッ」




ハッ!


自分の心配してる場合じゃないでしょ!相手、相手は!?



涙目になりかけた目を見開いてガバッとひっくり返った身を起し、膝をついたままコーン越しの相手を見る。

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