性格、反対
第6話
そこで“せめてニ個ずつ持とう”なんて考えは、あたしの頭の中には浮かばなかった。
五個ずつ持ったって、五往復はしなくてはならない量だった。
幸い距離はそんなにも遠くはなくて、体育倉庫に沿って角を曲がって少し歩けば良い程度。
「はー…。よし、あと一回」
そう、またいらない独り言を言ってコーン持ち上げる。
「あと少し、あと少し」
ニヘラ、と笑って蟹股で歩くあたしは、客観的に見て“変な男子”だったかもしれない。
そうしてそのまま角を曲がろうとした、その時。
「え、」
あたしではない、他人の声がした。
「へ?」
けど、もう遅かった。
勢いよく何かにぶつかる感覚がしてすぐ、両腕に抱えていたコーンはその反動でぶちまけられた。
「痛――ッ」
あたしは、角の向こう側から来た誰かとぶつかり、足を滑らして転んだ。
いや、ひっくり返った…。
途端に赤いコーンは宙を舞い、あたしとその“誰か”に圧し掛かったのだ。
「―……ッ」
ハッ!
自分の心配してる場合じゃないでしょ!相手、相手は!?
涙目になりかけた目を見開いてガバッとひっくり返った身を起し、膝をついたままコーン越しの相手を見る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます