第5話
それは、あたしが相手の顔とか表情をちゃんと見ることができさえすれば、嘘をついているかどうかなんて意外にも見えてくるようになったってこと。
結構昔は、なんでも唐突で、活発で。
毎日走ってるって感じだった。
でも、ちゃんと立ち止まらなきゃ見えないことだってあるんだって気付いた。
だから人助けというと大袈裟かもしれないけど、誰かに頼まれることが好き。
あたしの方が教えてもらうことが多いもん。
――昼休み。
食べる速さもお手の物なあたしは、ホームルームのクラスが一緒の嵐にことわってから体育倉庫へと走った。
昼休みは長いけど、時間短縮のため。
因みにあたしは、特別道場の家に生まれたとか、空手をやっていた、とかではない。
至って普通だった。
体育倉庫までの道のりを走っていくと、そこには山積みの体育用赤いコーン。
「うわー。こんなの女子に頼むものじゃないよね」
なんて、独り言を言ってみたりする。あたしも女子ではあるけど今の言葉に自分は入っていなかった。
でも、やり甲斐がありそうな仕事だ。
「…っんしょ」
コーンを一気に五つくらい重ねて持つ。
…流石に重い。
それに、前が見えない。
地べたに蟹股になって踏ん張り、ゆっくりゆっくり歩いていく。
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