第3話

あたしのために…。


頑張って、作ってくれたんだろうな…。



そう思うと、感動してきた。




キュッ



「きゃあ!?」


「…~ありがと!」



廊下で一年生を抱きしめるあたしと、真っ赤に頬を染める一年生を見て、それを見た誰もが思った。





(またか…)






そう。


こんなことは、一日に一回はある。



ショートの髪に、女子にしては高い身長。



そして何より人を助けるのが大好きだった。




そんなあたしは、友人いはく。


「美少女越えて美少年」らしい。

何だそれ。




おまけにサッカー好き。


先生は「お前がいると入部者が増えるから」とかいう適当な理由で、特別に入部を許可してくれた。


だからあたしはサッカー部だったりもして。







「クッキーありがとう。じゃ、またね?」



「ま、また…!?は、はい!」





「お。嵐、美枇」



去って行く一年生を見送っているとさっき席を外していた二人が後ろから戻ってきて、そのうちの一人、嵐がゆっくりと溜め息をついて苦笑した。



「真実にはほんと惚れちゃうわ」




「は?」




クッキー片手に教室に戻るあたしを、そこにいたクラスメイトは物珍しそうに見た。


あ、クラス替えしたばっかりだから、初見だったのか。



そう気付きつつ恥ずかしげに再び席に着こうと思った時。





「ま…、真実先輩いますか!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る