第12話
「じゃあもう、今日夕方からバイト?」
「うんー」
あたしは少し寂しそうにして見せるハルに向かってブイサインを見せた。
「頑張って!」
「ん!」
ちょっと欲しいものもあるしね…。本気で頑張ろうと思ってやる気満々。
次の日。
「ックシュン」
「……。風邪ひいた?めぐ」
「んー?昨日はそんなことなかったけど?」
まあ季節も季節だしね、と言って笑うあたしを横目でチラ、と見ている。
「今日は寄り道しないで帰ろ。めぐ今日も夕方からバイトだろ?帰って休んで」
「いやいや、そんな大したことじゃないよ?」
「…うん」
ハルは明らかに懸念してる表情。
あたしは申し訳なくも、そんなハルにきゅんとした。
「お疲れ様ですー」
「はいお疲れ~」
夕方。
バイトを終えて帰路につくと、あっというまに、もう日が沈もうとしている。
「…さぶ」
あたしは身震いして、手をコートのポケットの中に入れて家に向かった。
「……。え、あれ?」
家までの一本道に入った時、道脇に立つハルの姿が目に入った。
あたしはそれがハルかどうかを疑いながらも近寄る。
「……うあ、めぐ。おつかれ」
そう言って、にこ、とはにかむのはやっぱりハルだ。
「ハルどうし…」
あたしがそう問いかけると同時に、ハルは身を屈めて、あたしの頬に頬ずりをした。
「…えっ」
「…冷たい。俺があっためてあげる」
ハルは両手を出して、またあたしを引き寄せた。
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