第11話

「…っハル~!」


「あ、め…っ!どう、だっ…た!?」



今日は休日デート。

公共広場の待ち合わせ場所に走るあたしをハルが見つけて、目を丸くして聞く。




「受かった~!」




「ほんと!?やっ…たあああ!!!」


「わ、ハル!?」



ハルは飛んで喜ぶあたしと一緒に飛び跳ねて、あたしを抱き寄せた。



「ちょちょちょっ…」



ドキッと心臓も飛び跳ねて、急に照れ始めるあたし。


しかし流石、ハルはこうだ。




「いやー…。ちょっおじさん!めぐ、受かったんだ!」


「は、めぐ?」



ハルは横を通りかかったサラリーマンの中年男性にでかい声であたしのことを報告した。


あたしは照れも冷めてゲッ、と固まる。




「うわーどうしよう!」


ハルはスウッと息を大きく吸った。


「めぐがっ!受ーかーりーまーしーむぐっ」



あたしは咄嗟にハルの口を押さえた。




「?めぐ、どうした?顔から火が出てる」


「うん、顔から直接火が出るわけないよね。あたしガスコンロか何かだったっけ?」


「違う」



ハルはへへ、と笑った。




この、うちの子が名門校に受かりました的なハルの喜び方で誤解しないで下さい…。


あたしが受かったのは――。



バイトの面接です。(しかも夕方のチラシ配り)

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