第7話

褒められて緩む口元で、あたしはハルに振り返る。



「ハル、あたしの格好――」



“どうかな?”


そう、言いかけたときだった。




グイッ

「わっ…」


ハルはあたしの腕を強く引っ張って、誰も使っていない更衣室に入ると、ロッカーを背にして覆い被さるように立った。



背の高いハルの影が、あたしを包んでいる。





「ハル、痛いよ。何?」


「…っ」


ハルは一瞬眉間に皺を寄せたように見えた。

でも、またすぐ冷たい表情に戻る。



「…それ。魔女?」


「え?あ、うん」





「……かわいくないな」





「へ…?」


冷たく振りかかった言葉に、あたしは声を詰まらせた。



『かわいくない』


その言葉を頭の中でもう一度繰り返すと、自然に目に涙が溜まる。




好きな人に、


一番に褒めてもらいたい人に、



“かわいくない”って言われてしまった。





「……かわいくない」



ハルはもう一度、冷たくあたしを傷つける。





「う、うん。分かったよ…」


あたしは緩く笑って、まだ腕を握られている痛みに耐えながら頷いた。

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