第8話

「何、めぐ。可愛いって言われたから調子乗ってるの?」


ハルは冷たく笑って言った。



「え?」



「お前。全然似合ってないから」



「え、……あ」


笑顔を取り繕っていたあたしの表情が、ぐらりと揺らいだ。




「…!」




ちゅ


「……っ!?」



ハルは涙を零す前のあたしにキスをした。


すぐに冷たい唇が離れる。





「……言わなきゃわかんないのか」





「…?」


あたしは固まったまま、いきなり突拍子もないことをするハルの表情を見ていた。



「…っ。……はぁ」


ハルは分からないというあたしの表情を目にして、顔を逸らして溜め息をつく。



ハルの、頬が赤らんでいるように見えるのは、気のせいだろうか。




「…めぐ」



「なに?」




「だから。他の奴に見られたくないって言いたかったんだけど」




「え、あ、ああ!も、もしかしてハル、やき……ちょ、待っ」



あたしは近づいてくるハルに向かって必死に言葉を滑らす。




「ぜったい教えねぇ」



「ちょ、待ってハル!近い近い近い眼鏡当たるやめれ!!あと腕痛い!!!」















Fin.

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