第6話
「ハ、ル?」
文化祭。
うちの学校ではハロウィンに合わせて開催される行事。
メインは生徒から先生まで行われる仮装。
皆それぞれ自分の選んだ仮装をする。
魔女の服装に身を包まれて更衣室を出たあたしは、目の前で背を向けるひとの名を呼んだ。
「着替え終えた?」
ハルはそう言って、振り向く。
う、わ…。
ハルじゃないみたい…。
ハルの仮装は、きっとメジャーに吸血鬼。
綺麗な顔立ちに何故か眼鏡をかけている。
ハルは振り向いてあたしを見ても、顔色一つ変えない。
「ハル、眼鏡…」
「あ、コレ?なんかカラコン無理だからって」
そう言って眼鏡を上げる仕草をする。
どことなく雰囲気が冷たい。
でも、やっぱり凄く格好良い。
「お!めぐの仮装、魔女?」
「うん、そう」
ハルに見惚れていたあたしに、通りかかった、段ボール箱を抱えたクラスの男子が声をかけた。
「へえ、かわいー」
彼は少し照れた様子でそう言った。
「え!?あ、りがとう」
あたしもそれにつられて照れながら返事をする。
「……」
「おい、セロハン持って来たー?」
「あ。おう!」
教室の中から呼ばれた彼は、あたしに手を振って教室に戻っていく。
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