第3話

それを本気で言うハル。


こ、この馬鹿――!

声が大きいハルに、何故かあたしが周りを気にして辱められる。



「だって、馬鹿だハルは!」


「馬鹿じゃねぇ!」


「馬鹿だよ、馬鹿馬鹿馬鹿!」



「あのなあ――…っ」



ハルは勢いよく机に手をついて立ち上がった。



「その馬鹿はお前のことが好きなんだよ…っ!!」





――…え?



「…っ」


目を点にしたあたしの前、ハルは視線を下へ落としてしまう。



皆の視線が一気にあたしたちに集中するのが嫌でも分かった。



「おまえさあ…っ。誰だか知りもしない男なんかをイケメンとか言うし…っ!」


下を向いてはいるけれど、ハルの耳までもが紅くなっていくのが見えた。


「他の男なんかみるな……!」



その言葉を耳にしたあたしの顔は、一気に火が付いたように、まるで発火でもしたかのように紅くなる。


首まで、真っ赤だ。



まだ立っているハル。

何故か周りの皆も赤面。




「あ、あたしだってその馬鹿が好きなんだよ…」



「へ!?」


ハルは、勢いよく顔をあげた。


真っ赤な顔のあたしを目にしてまた、つられて恥ずかしそうに口を結ぶ。



「ほ、ほんとに…?」


「そ、れはあたしの台詞――」



「よっ…しゃあ!!!」



「わあっ…!ちょっ…ハル!」



ハルは、机越しに抱きかかえる様にしてあたしを抱きしめた。




「めぐ、俺と結婚しろ!もう放さない!」








「……すみません、順序だけ踏んでもらってもいいですか?」















うん。馬鹿でも、大好きだ。

















Fin.♡

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