第80話
「その先は聞かなかったか?」
何だか楽しそうな表情に、今度はあたしが驚かされてしまう。
その先?
「沙織。俺は『人間はきらいになれない。だから、好きにならなくていいから。嫌いにならないでほしい』と、そう言ったはずだが?」
「え、」
思い返してみると、あたしが聞いた言葉は『人間はきらい』、そして『好きにならなくていいから、』のそこまで。
「……。」
「嘘じゃない。」
確かに頷くらいおんさん。
あたしの顔は、次第に蒼ざめていった。
「ご、ごめ、」
“ごめんなさい”と、そう言い掛ける。
言い掛ける、ということは最後まで言えなかったということで。
らいおんさんは突然、噛み付くようにしてあたしの唇を食んだのだ。
がぷり、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます