日下の痣は姿を変える

第67話

――――――真夜中。




ふっと息を吹き返すように目が覚めた。





「……?」




薄暗い部屋には畳と木材、それから夜の匂いがした。



次に自分が布団の上に転がっていることに気付き、同時に掛け布団の重みにも気が付く。




右隣を見やれば、らいおんさんの姿があって。



あたしの息は止まる。





「沙織?……目が覚めたのか。」





目元に作っていた影を、縁側から零れる月明りに晒すように睛を上げる彼。




月に濡れるって、こういうことだ。




でもらいおんさんの場合、月の色が蒼いと感じるのは何故だろう。

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