第61話
「ら、らいおんさん。ちょっと待って。や、やめ、」
首元に掛かる手を離して。と顔を背けようとする。
でも彼はそうさせてくれず、指先に込められた微弱な力であたしを自分の方へ向かせる。
「だめだ。さおり、」
――――話を。
聞いてほしいのか、聞かせたいのか、それとも聞いてほしくないのか解らない。
彼の行動はまるでやっていることに飽きた猫の様。
「『寿命、』の続きを教えて。」
「嫌だ。」
「なっ、」
「予想するか、…聞き出すか。しろ。」
らいおんさんは愉しそうにあたしの毛先を掴み、くるくると回したりして弄ぶ。
「沙織、早く。」
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