第35話

「だから、細かいことを云えば、正しくは“ず”ではなく“づ”らしい……。」




あたしは、まるで他人事みたいに言うんですねという言葉を飲み込んで、珍しい漢字を使うなあと思っていた。


とっても、珍しい。




そう思っていたら、らいおんさんは、ちら、とこちらを見たあと徐に指折り何かを数え始めた。



あたしは目の前で彼が口を開くまでそれを見守る。




「今年で、二十二。それが合っていると思う。」




「?」



「?歳を聞きたかったんじゃないのか?」




?、と。もう一度首を傾げたところで、理解して飲み込む。



それからふるふると、首を横に振った。


らいおんさんは「……そうか。」と呟いた。少しびっくりしたようだった。





「……あ、でも。」



「?」



「いつかは聞こうと思ったと、思うから。」





だから。


そっか、と。






「みっつちがい、ですね。あたしは今年で十九歳になるので。」

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