第31話

そうして、ちゅ、とリップ音がする項。



首の後ろから聞こえた初めての音に、ビク、と背筋が震える。





「……ふ。」





きっとあたし今、首、真っ赤だ。





「……。」




零れる息に涙目を。


らいおんさんの硬い首下で瞑ろうとしたけど、それをやってしまったら涙が零れてしまいそうでできない。




一番傍で、らいおんさんが閉じていたらしい眸を開くのがわかった。



短くぎっしり生えた睫毛が首筋に触れたから。





らいおんさんは、躊躇ったように思えた。




また震えるあたしが怖がっていると思ったのだと思う。



それでも。





もう一回。





さらさらと髪の除けた項には、らいおんさんのくちづけが降り注がれた。

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