第7話
「ハナ…なんだっけなぁ。」
あの方の、珍しいとの感想が残る名前は声まで届かなかった。
そうこうしているうちに、日の昇りが遅くなりつつある季節とはいっても、肌寒い空気に温かみを持たせる東日が、座った左目から入る。
それに溜め息のような息をそっと吐き出して、立ち上がって、滑り込むように門の隙間から中へ入って、誰かに言われた通り玄関扉に手を伸ばした。
すこし、早いけれどと振り返る静かな門の外の路。
そういえば、昨夜から一台も車が通らなかった気がする。
気のせい、かな。
二回だけ、固い木の扉枠を叩く。
返事は、なかった。
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