第4話

『あ、待って待って。』



馬鹿でかい屋敷の馬鹿でかい門の裾で、そこにいた庭師らしき男の人に「本当にここであっていますか」と声をかけていた。



確かな頷きに、失礼しやしたと踵を返すあたしを。



引き留める声。




うえ、なにゆえ引き留める!?





そう背を向けたまま肩を震わせたあたしは、瞬時に現れた心の中に過(よ)ぎるイケナイ考えに耳を澄ます。




……聞こえなかったふりをして去ってしまおうよ……。





けど、まてよ?


追って来たらどうする。



て手下とか使って。



五十メートルならある自信も、百メートルを超えるとなかった。



何分、持久力に欠ける。





だらだらと汗と共に悩んだ結果ピタリと止めて振り返る足に、安心したような表情を魅せた男性。


驚くほどきれいな顔立ちをしていて魂消た。

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