第79話

同じだと云いたくない。けれど。



同じと云うことで、引き換えに手に入る安心はこの気持ちに必要ないし本心は彼を想うのも自分だけなら良かったのになぁと思っているけれど。




好きを渡したい。




それで。


それで、何だっけ。




中には、私と同じようにここの制服ではない他校の子もいた。



「全員が梶目当てってわけじゃないと思うけど…」


「殆どが、そうだよね。やはり女の子は見る目があるな~」



へら、と笑ってそっと想う。



目立たないようで、見ていたらわかる。見つけてしまったら、知る。梶くんの面倒くさがりな中の優しさとか、予想外な面倒見の良さとか眩しい背中とか。



そんなの向けられてしまったら。




「振り向いてもらえなくても追い掛けたいって想っちゃうよ」




きっと。

いつであっても魅せられるはずだから。

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