第52話

岬 梨句。




高校二年の秋、たった一度みた夢から醒めることはなかった。


五年後。


最愛のひとに名を呼ばれ目を覚まし、高校二年の秋から先、この時代からすれば忘れていたとされる記憶がその最愛のひとが抜け落ちた状態で取り戻される。


何故彼だけが失くされ、記憶は返されたのか。


この五年後の時代で、自分と想いあっていたという彼は『今までの自分を忘れてしまうことが代償だった』と。



背中に。


ふたつの傷に一線を引くような傷が在り、まるで記憶のような


夢をみる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る