undecide

第48話

side,,,













梨句にはない記憶。





彼女が、この世に生まれ落ちた時から背中に、ふたつに分かれたような一線の傷があったように。





俺にも“それ”は存在していた。




何故かはわからない。




いつからかも、わからない。




ただ、在った。







『グロリア』という名前の、記憶が。





在った。







ずっと、もう長いことその記憶を抱えて、潜在意識の中ではそれを探して、生きてきた――生きていた――高校二年の冬のことだった。

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