第44話

「梨句。耳まで真っ赤」




「はっ、す、だっ…ですね、梶くんにそんなこと言っ…」




言いかけている途中に顔を覆い隠していた手をのけられて、露わになる紅。



ハハ、と笑い声を立てて突然至近距離に現れた大好きなお顔に、ぶわわと熱は拡がった。




「うわ、更に赤…」



「……っ、ごめんなさい」



「毎回思うけど、そんなに?」





…毎回。




何気ない言葉に胸がきゅんと締め付けられる。





ふと、となりに肘をついた彼をちらちらと盗み見ながら何度も繰り返し頷いた。




「だから。一々可愛いことしないでいい」



「え!か!?か、梶きゅ」




思わず素で口にした言葉に、彼が瞬き。



格好良いと思いながらしまったと思っていたら笑われた。




「……懐かしいな」

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