第40話
僅かに躓いた声に私は「代償?」と繰り返して。
彼を見上げれば青い光を秘めた瞳が揺れた。
それはあまりにも美しく、目の離せないもの。
「そう――…代償」
梶くんの、赤くはない形の良い唇がそう動いて、宇宙の何処かに浮かぶ或る惑星を思わせるような青い瞳に映されて、一瞬。
そこに映る私の瞳が、血液よりも濃い赤に見えた。
「――…っ」
肩を震わせ、後退る。
彼は瞳を閉じた。
もう一度開かれた瞳に、その私はいない。
ただ少し悪戯に、ただ少し熱を帯びて私を映しているだけ。
だから私は吸い込まれるように問うてしまった。
その、酷く愛すべき瞳へ。
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