第31話
「え?」
瞳の色が、私の中の靄に降り注いで。
開いていく。
――…閉ざされていた記憶を。
どうして忘れてしまっていたのだろう。
きっと、そう思う。
そんな記憶。
「俺らは高校を卒業して、今は四回生」
「四……」
「信じられない?」
その問いには、首を横に振るも言葉が詰まってしまう。梶くんが口にすることを信じられないなんてことはない。けど、あまりに記憶という情報が足りなくて。
俯く。
「え……と」
「ん、何でも聞いていい」
「何でも……。……あ、の」
「うん?」
そう、促されてしっかり見上げてみれば、彼は。
私が毎日のように物陰から見つめては熱い視線を投げかけていた頃と比べて凄く、すごく……大人っぽくなっていた。
身体つきもそうだけど、何かが決定的に違う。
でも、その『何か』がわからない。
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