第30話
わからないわけがない。
咄嗟にそう思った。
だって知っている。
忘れるわけがない。
知っている。
強く硬く、それでいてさらりと風と遊んで真っ直ぐに光を誘い、集めて惹きつけては一心に愛される淡い髪。
低く響いては誰かを背負い、共に導くことのできる声。
繋がれた、痛みを知る手はこの瞳のように優しく。
…瞳。
瞳は今、夜を目の前にして、
沈むものの色。
「梶、く……だよ、ね?」
彼はもう一度、優しく微笑った。
「りく。もう俺らは、高校生じゃない」
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