第25話
彼がのこしていった、私が掬い上げた“それ”に唇を寄せたとき、ゆっくり、ゆっくり。ゆっくりと――――に灰か星屑のそれか判らないくらいの色を灯した事実を覆うように、重たい瞼が落ちていった。
被さっていった。
――――そして。
静かな眸とは裏腹に、まるで処刑台で火炙りにされたときのような苦しさと痛みで絶え絶えになっていた呼吸が、突然楽になった。
感じる違和感。
それも、少しずつ忘れていく。
哀しいくらい、忘れていく。
ただ。
声が、聴こえた。
『まおうさま』と。
どうしてか涙が出るくらい懐かしい声だと思った。
「…………梨句」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます