第25話

彼がのこしていった、私が掬い上げた“それ”に唇を寄せたとき、ゆっくり、ゆっくり。ゆっくりと――――に灰か星屑のそれか判らないくらいの色を灯した事実を覆うように、重たい瞼が落ちていった。




被さっていった。






――――そして。






静かな眸とは裏腹に、まるで処刑台で火炙りにされたときのような苦しさと痛みで絶え絶えになっていた呼吸が、突然楽になった。





感じる違和感。






それも、少しずつ忘れていく。





哀しいくらい、忘れていく。













ただ。


声が、聴こえた。





『まおうさま』と。





どうしてか涙が出るくらい懐かしい声だと思った。





















「…………梨句」

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