第22話

「触れ」




静かに柔らかなベッドへ下ろされて見上げた、願うような掠れ声。



夢にまでみた目の色がふと変わった。




窓の外から月明かりに似た、銀の星屑を浮かべたような一線の光が差し込んでいる。



月明かりのようでそれが月明かりではないことをちゃんと知っている。



それに当たって首筋から肩にかけて透き通るような梶くんが覆い被さって、どうしてこんなに泣きそうになるのかと思いながら恐る恐る指先を伸ばし這わせて触れた。




しなやかな硬さを感じるより先に、耳の横につかれた腕が曲げられて、



もう一度、今度は身体にキスの雨。




肩に触れていたのが、その内耐え切れず掴まるように縋るようになっていく。




梶くんの唇は柔らかくずっと冷たい。その唇が、私が梶くんに触れているところと同じところ――首筋、に触れて身体が強張った。





「怖い?」





そこから視線だけを上げて、私を見上げて、狡い人は濡れた唇でそう、問う。




怖くても、怖いなんていえないよ。





「ふ、……う……うん」





首を左右に振れば梶くんはまた一つ、身体にキスを落としていく。

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