第十四話 格上でも倒してみせる!

 うう…頑張らないと!

 私達はブレスレットを押して、タンバリンを取り出した。

 邪楽を捕まえて、考える時間を作るっ。

 また幻覚をされたら大変!


――タンタンッ

「グヘェッ」

「捕まった!」

「これじゃあ、幻覚も出来ない!」


 出て来た網が邪楽に絡み付いた。

 格上シニアでも、ドレスやタキシードだから動きにくい! 思ったより上手く行って、緊張がホロッとほぐれる。

 そして、私達にセマリクル難関は、邪楽の生まれた音楽を当てるということ!  さっきは間違えてしまったけど、今度こそ当てる!


「まずは…舞踏会系の音楽。それは間違いがない」

「え? ブトウ!? イヤだよぉーー」


 私がへにゃっと顔を崩すと、ナギが笑いながらアルトをなだめた。


「舞踏会だよ。ブドウと確かに似てるねっ」

「ああー聞き間違えた! 悔しいっ…


 うう…悔しいとは言ったけど、間違えたのが悔しいのではなく、アルトに睨まれて悔しい! あれっ、結局間違えて悔しいのかな?

 ま、間違えるのは誰でもあるからオッケー!


「ダンスを踊って俺達に幻覚を見せた。ドレスとタキシード、そしてダンスがかみ合うのは舞踏会だろう。そうじゃないか?」

「なるほどでつ」


 確かに、歩翔君頭良い! 私ほどでは無いけど、フフンッ。


「メヌエット?」


 メヌエット…… 。確かに優雅な曲が多くて、舞踏会にもぴったり!あってそう!


「やってみるか?」

「うんっ」

「じゃあ、誰が作者だ?」


 ギクッ。

  そう、メヌエットの種類はいっぱいなんだ!  有名なのはバッハのメヌエットだけど……。


「バッハでは無いと思う!」

「何でだ?」

格上シニアだからそんなに有名なのでは無いと思うっ」

「確かに、バッハだとすぐに気付かれちゃうかも……。モーツァルトの『メヌエット長調』かな」

「それでやってみるか?」


 アルトの言葉に、ナギがうなずく。ミューちゃんも、早速指揮棒を取り出してくれた。

 私はmusicdictionaryに指を置く。


「「「メヌエットト長調」」」


 ミューちゃんが指揮棒を振り始めた。指揮の ワンツースリーという動きに合わせ演奏の準備をすぐに済ませた。

  もうすぐ始まる!


――♪;♪《シド》 ♪;♪《レド》


 軽やかなリズムが鳴りだす。 ミューちゃんは楽しそうに指揮をしていた。間違っていても、楽しくていいよね…とは考えない! ただ演奏するだけだよっ。


――♪;♪《レド》♪;♪《レド》


 楽しい!軽やかなリズムにトランペットが揺れる。そして、だんだん遅くなっていき、


――♩♩《ラソ》


 終わった。行ける、邪楽は消える?


「あ…あっ」

「良かったな。消えた」


 消えていっている! 格上シニアでも倒せた!!


「やったでつね」

「うーん! ホッとしたよ~」

「めっちゃ演奏良かったっ。なぎも格上シニアを倒せて良かった! 嬉しかった!」



〇┃⌒〇┃⌒



――♩


『シューベルト 軍隊行進曲』が流れる。 やっと念願のマーチングが見れた!私は息を荒くした。


「ワーオーンさん、どこ行ってた? いきなりいなくなったのですから心配でしたよ」


 さっちゃんが戻ってきた私に呟く。格上シニアにパレードをやめさせられたのは覚えてないみたい。

  パレードが再開したのは私のおかげと言いたい! 

 二回目のお役目、何とか終了!


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