第9話 審判の日
『では、第一回ジャッカルプラモデル部定例会を始めます』
9月某日──。
あれから1ヶ月。
ついにこの日が来た。
オレが色々ぶっちぎって出した手描きのやりたいことシート……自称「タカラダ文書」の是非が今日、裁定される。
ごくり、と誰かが喉を鳴らした。
いや、鳴ったのはオレの喉だ。
『今日は神原さんが都合が付かず、副部長の私、
少佐……宜しくお願いします。
『まずは前回お伝えしてましたプラモデル部の
『まず、プラモデル部公式ロゴの件ですが』
ああ、なんかあったな、そういうの。
『デザインしてくれた方がジャジャカルくんをロゴにあしらってくれたのですが、この利用に香港のグループ本社の
ジャジャカルくんとは、我らが家電量販店ジャッカルの公式ゆるキャラだ。
なるほど。大きな会社となるとちょっとしたことでも沢山のハンコが必要ってわけだ。
『次に公式Xアカウントですが』
ああ、それもあったな。
正直自分のやりたいことで頭が一杯で完全完璧に忘れていたぜ。
『実は、社内でも今回のプラモ部のような、こう言った試みは初めてで、当然その公式SNSアカウントも例がなく、運用のルールやガイドラインが全くなくてですね……アカウントは作ったものの、投稿できない状態です』
…………。
『某芸能プロダクションの有志プラモデル部にアカウントをフォローはして頂いたりしてるのですが、そんな感じで当初に動こうとしていたことは、前には進んではいるものの、結果が出ていないのが現状です』
オレは心の中でニヤリ!とした。
これで模型オタクをバカにする系の意識高い連中には、我らプラモ部の立ち上がりは
いや待てよ──申し訳なさそうに話してはいるが、全てを計算に入れた上でこの絵図面を描いたのは少佐かもしれん。
我々の最大の敵は、我々の活動が美味しくなりそうと見て妙なチョッカイを出してくる模型好きではない社内の誰か……なのだから。
模型に興味ない連中には上手く行ってないと見せ、今後入部を希望してくる連中はそれでも入りたいと思ってくれるプラモバカたち──そういうことですよね少佐。
流石ですな大佐。そりゃあ連邦だって。
『さて、続いて、皆さんから募集したやりたいことについてですが──』
来たッッ!!!
オレの心臓が奥さんにプロポーズした時と同じビートまでテンポアップし、あっさりとそれを超えた。
『芦高店の宝田さんから素晴らしい提案を頂いています!』
そしてオレの心臓は完全に止まった。
*** つづく ***
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます