第13話 海の幸には火を通せ
「さて…役者も揃った…作戦を話すよ!」
「とは言っても…海底まで行ける私が素潜りで
海底に突っ込めばいいだけだろ?…セドナのいた
所よりも深く潜っても私は耐えられるだろう…」
「お主な…持ち前の力を活かすのは良いが…そんな荒い運び方で遺物が無事で済むと思うか?」
「ああー…セドナの時は平気だったから…」
「そういう訳だから…収納と運搬をテトがスキルで行い、テトを深海の呪いから保護する為にセドナとキーケ。護衛にレン…最後に私だ!」
「それは良いけど…深海の呪いって?」
「あの場所は海神の領域とされていてな…
魔術による敬意を示さなかった場合…水に
押しつぶされて死ぬそうだ…」
(水圧の事か…)
「さあ…それじゃ…海まで歩くよ!
未知の宝はすぐそこだよ!ハッハッハ!」
(…それは叶わぬ…貴様らの絶望もまた儂の永遠の糧になるのだからな…!)
煉一行の前に…六つの翼の龍が降り立った…
翼に光る紋様は目玉の様で、その全てに睨まれる
様な迫力だ…
「ガアアアァッ!!!」
「あ、あの翼は…!」
「えと…なんだっけ…ティエルスフだ!」
「…龍の矜持すら忘れた傲慢の権化が…今更
気取った所で意味は無い!」
(そういえば…メーヴルと因縁があるとかなんとか
言ってたな…)
「邪魔すんじゃ無いよ!アンタはアタシ一人だけで相手してやる!」
「無茶ですよ!メーヴル!一人で龍と争う気なんて正気ですか!?」
「キーケ…数千年も強欲のままに生きてきた人間がまともな奴に見えるのかい?これまでずっとずっと奴を屠るのを求めてきたんだ…理屈なんぞどうでもいいね!」
「…行きましょう、一度決めた事を曲げる人じゃ
ないもの…それに…ずっとこの時を待っていた
でしょうから…」
「ガァウゥゥ…!」
「…さぁ…その腐った性根を叩き直してやるよ!」
「ガアウゥアアァ!!」
───────────
「なあ…あの龍ってメーヴルとどういう因縁が?」
「あぁ…レンは知らニャいのか…あいつは…
人々だけでなく…同族達からも崇拝の対象となった程の凄まじい龍だったニャ…強き者との死闘を
求めての決闘を続け、その名を轟かせた…
メーヴルも奴を倒す事に憧れた一人だったニャ…」
「そんな風には思えないんだけど…」
「そう…奴は突如として姿を消し…現れた時には
ランチスを滅ぼした…まるで別物の様ニャ…まあ…奴は後天的に大罪を得た最初の存在ニャ。
力に呑まれ…心変わりしたのだろうニャ…そんな
奴を見て、メーヴルは怒り心頭だったニャ。」
「ほへー…後天的に得ることもあんだね…」
「さて…そろそろ海底に向かう訳ニャンだが…
レンの持ってる籠の中に入ってから、セドナと
キーケの二人に結界魔術を張って運んでもらう
都合から…僕らは動けないニャ…」
「うん…何か分かりやすい遺跡の跡を見つけたら
伝えるんで、よろしく…」
海底へと進んでいく…深淵は光の差さない暗闇で、
何処までも暗黒ばかりが広がる…だが、ようやく
辿り着いた海底には僅かな光が灯っている…
光に照らされた人工物はかつてセドナが幽閉された
空間と類似した外観をしている。
「着いたよー」
「おお…!着いたのニャ!?」
「うん…」
(着いたはいいけどさ…皆はどうやってここを探索するつもりだ?)
疑問に思いつつ、建造物に立ち入ると…
ガシャン!と入り口が閉ざされる…
「またこのパターンか…?」
かつての様に部屋がエレベーターの様に下へ下へと降りていく…着いた先には水が無く、エレベーター
内の水が放出され、排水口に流れていく…
「出れそうだよ…」
籠を開いて皆が外に出てくる…
「おぉ…なんと…でも行き止まりだニャ…」
「任せてくれ…」
セドナが壁に付いているボタンを押したりレバーをガチャガチャと動かす…そして…扉が自動で開く。
「よし…まさか、あの場所での経験が役に立つとは思ってもみなかったな…」
「おお〜…すっげぇ。」
先に進んで行くと、崩れた紙の山がそこら中に
転がっている…どれも読めない字で書かれている…
そんな資料の数々をテトは内容を特に確認せずに
空間のポケットに突っ込んでいる…が、一つの
ノートに手が止まる…
「…これは…どこの文字だニャ?他のランチス文字とは全く違う…」
「本当だわ…当時の文字にこんなのは無かったはずだわ…」
「む…この文字は…どこかで…」
皆が、注目するノートの表紙には[日記]とだけ
書かれている…かつての故郷の文字だ…
「あれ、日本語じゃん…なんでこんな所に…」
「「「!?」」」
「よ、読めるのか!?」
「に、ニホンゴ…?」
「……これは何と書いてある?」
「日記って書いてあるよ、丁寧にお名前まで…
続
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