第6話 巡る罪は蜜の味

海底遺跡で出会ったセドナと煉は外へ出る事に…


[取り敢えず…これに入っていてもらって…

水中で呼吸とかできる?]


「大丈夫だ、ほれ…ここ」


セドナが髪をかきあげて見せた首元には魚の様な

エラがある、そこで呼吸出来るようだ…


「呼吸は問題ない、だが水面までは必ずゆっくりと

上がってくれ…妾はお主程頑丈ではないから

体調を崩すかもしれん…」


[了解]


セドナを石の籠に入れてエレベーターを登る。

扉が開くと同時に海水が凄まじい水圧でこちらに

流れ込む…しかし体で受け止め、セドナに傷が

付かないようにする…


[なるほど…これが出れなかった理由か…]


「罠を突破出来ないことも含まれるぞ。」


[出るまで結構掛かるし、大罪について詳しく

教えてよ。私以外の大罪持ちとかさ。]


「ここに入る前の昔話しか出来ないから…現代とは違いはあるだろう…まず大罪は人族達の間で最も

広まったイースト教の開祖たるメシヤ・イストが

大罪の力による厄災が訪れる予言をした事に起因

する。まあこれは昔から続く有名な御伽話さ…」


(ここでも宗教は盛んなのね…)


「今までに確認された大罪の力は五個…

人間三人と長命種一人と真龍一匹が持っていた。」


[同族に似たやつがいるのか…]


「二人は寿命で死んだだろう…一人生きてる化物もいるがな…簒奪の女王メーヴル・シルフ、[強欲]の持ち主だ。彼女は地位、力、宝、永遠の美貌…

欲する全てを手にして来た。国一つあっという間に壊す力で王位を己の手に掴んだ…敵には国潰しの

暴君と恐れられるが、民には勝利の戦女神として

讃えられていたよ…」


[悪いかどうかは決めかねるなぁ…]


「まぁ…確かに他の奴と比べればマシだな…お次は

讃祀さんしのティエルスフだ。[傲慢]の大罪の持ち主で、龍の中でも特に戦闘力とプライドが高い。六つある翼が全て強力な魔術処理を行う器官でな…島一つを消す魔術を一瞬で構築できるそうだ。自分以外の全てを下等なものと見下しているが、例外として

メーヴルを敵としていつも狙っている…

メーヴルが狙っていたランチス島は奴の嫌がらせで沈められたんだ、怖いねぇ…フフフ…」


[嫌がらせの為にわざわざ島を壊すのか…もう

嫌がらせのレベル超えてるな…あ、そろそろ陸地

だよ!]


「おや…続きは後にしようか…」


力を翼に込めてざばんと水面から跳び上がる。


「お主…飛膜すら無い翼でよく飛べるな…もはや

退化した痕跡器官程度に考えていたが…」


[まあどうでもいいよ!さて…道中で魚を沢山

捕まえたからね…塩の製造も兼ねつつ調理開始!]


「さっき食べたばかりではないか!どれだけ食う

つもりなのだ…」


[さあね!それは大罪のスキルを作った神様にでも聞きなよ!私は腹が満たされればそれでいい!]


「なんという考え無し…全くとんだ阿呆と組んだ

ものだよ…」


[阿呆で飯が美味くなるなら結構よ!ハッハッハ!]


人間の領地…ナディ国の城にて…


「さて…状況はどうだいキャメル!例の龍は

あの小僧との関連あったのかい?」


「いえ…割れた卵の痕跡や、テトの鑑定による

解析が出来た部分だけでも全く別の個体でしょう…安全な地で卵を孵化しに来たと考えられますが

念の為…奴が捨てていった角からスキルツリーの

解析を進めるとよろしいかと。」


「あぁ…龍の角だからってぶんどったりしないさ…いくらでも余ってるし、アイツの角以外はいらないね!町一番のルーキー達にでもやっときな!」


「左様でございますか…」


「ごめんなさい…女王様…」


「ああ…いいのさキーケ…アンタだって人間さ、

失敗しない訳じゃない…伊達に長生きしちゃいないからね…そ!れ!よ!り!も!」


「へ?」


「どお"ぉ"して!!龍って奴はウチのシマを

荒らして行くんだよ!その上なんで!

あのお邪魔虫のせいで沈んだランチス方面の海域に

向かった!あそこの技術も宝もアタシのモンになる

筈だったのに!なんで毎回真龍が邪魔すんのよ!」


「また始まっちゃった…」


「…諦めた方がいいな…」


加えて!キーケにトラウマまで植えて!あー!全く…ムカつくわ!出てきたらタダじゃ

置かないわ!…ハァ〜…」


「何か凄い機嫌悪いね…いつもだけど」


キーケとキャメルがヒソヒソ話す…


「女王は龍が滅茶苦茶嫌いお方だからね…傲慢が

現れた暁には…」


「何か言ったかい!?」


「「いえなにも…」」


そんなやりとりの中、近衛兵が焦る様子で報告に

来た。


「じ、女王様!朱い龍が出現しました!」


「なんだい、そんだけかい?」


「いえ…龍がランチス海域から混魔人キマイラと共に

上がってきたのです!」


「何ィ!?ランチスの奴ら…!んなもん隠し持ってやがったのか!龍め…!悉くアタシの資源を…!」


「…オイオイマジかよ…数千年も沈んでたってのに生き延びてた奴が居たのか…キーケ?どうしたんだ

キーケ…」


「………セドナ?」


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