第38話 エピローグ
占いの館「星辰と月夜の部屋」――その談話室では、いつも通り穏やかな空気が流れていた。古びた石油ストーブの柔らかな暖かさが、三人の占い師たちを包み込み、静かな午後のひとときが過ぎていく。
天樹が、湯気の立つカップを手にしながら、ふと口を開いた。「結局、佐伯くんと桜子さん、それに和樹もそれぞれの道が繋がり、再び進み始めたってことか。なんだか、感慨深いよな。」
セドナはテーブルに並べられたタロットカードを軽くシャッフルしながら、微笑んだ。「そうだね。佐伯くんは、最初ここに来たとき、自分の気持ちにさえ確信が持てなかったけど、桜子さんとの時間を通じて少しずつ成長した。占いも助けにはなったけど、結局は自分の心で選んだ道だ。」
スピカは、ノートPCを見ながら頷いた。「星々の導きも、彼らが自ら歩む道を照らしていた。桜子さんも佐伯くんも、過去に向き合って、その上で今をしっかりと選んだんだと思う。和樹さんも、昔のことを後悔していたけれど、今は新たなスタートを切ったようだしね。」
天樹はほっとしたように息をつき、「和樹も、あの洋館のことをやっと整理できたんだろうな。あの場所での出来事が三人の心に残り続けていて、それがまた今の彼らを繋げたんだ。」
セドナは目を細めた。「偶然じゃなく、必然だったんだろうね。佐伯くんがオーケストラに入ったことで和樹さんと再会し、その縁で桜子さんと繋がり、そして洋館での邂逅
「星々が彼らに与えた運命のシナリオは、彼ら自身の行動で現実のものになったんだね。すごいよ、こうしてすべてが繋がっていくのを見るのは、本当に人の縁のつながりはすごいですね。」スピカが柔らかな微笑みを浮かべて言った。
セドナがその言葉に同意するように頷いた。「でも、ここからがまた新たなスタートなんだよ。彼らの物語はまだまだ続いていく。星が彼らに示す道も変わっていくだろうけど、その選択をどうするかは彼ら次第だ。」
天樹は穏やかに微笑み、「俺たちはこれからも彼らを見守っていけばいいさ。困ったことがあれば、またここに戻ってくるだろうし、その時にまた力になれるといいな。」
三人は静かにカップを手にし、それぞれの思いに浸りながら談話室の穏やかな空気を味わっていた。
その静かな午後の穏やかな空気が続く中、占いの館「星辰と月夜の部屋」の玄関で、カラン…カランと、柔らかなチャイムの音が響いた。
天樹が顔を上げ、少し微笑んで、「さて、新たな客が来たみたいだな」と言いながら、立ち上がった。
セドナも軽く肩をすくめ、「このタイミングで誰が来るんだろうね。運命の風は今日も流れているみたいだ。」と言い、立ち上がる天樹を目で追った。
スピカは静かに書類を片付けながら、「新しいお客様がどんな運命を背負ってここに来るのか…楽しみですね」と微笑んでつぶやいた。
天樹は扉を開け、そこには少し緊張した面持ちの若い女性が立っていた。彼女はおずおずと中に入り、視線をさまよわせながらも、その場所の雰囲気に包まれて、少し安心したような表情を見せた。
「いらっしゃいませ、ようこそ『星辰と月夜の部屋』へ。」天樹が穏やかな声で挨拶をすると、彼女は少し微笑んで「ありがとうございます…実は、ずっとここに来ようか迷っていたんです。何かに導かれるように、今日やっと来れました。」と話し始めた。
占いの館 星辰と月夜の部屋にようこそ 「夢の影と三つの予言」 空っ風 @kirosu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます