「あー…これなら…うん、
ハルも流石に大きくなってるしサイズも大丈夫だと思う」
勝手に入った2階のハルの部屋で、勝手に漁った服。ハルの服は何か変な熊の絵が描いてあったりと松方がこのまま着て帰ることを考えると似合わなすぎて可哀想なのと個人的には腹筋が崩壊しそうなのとでなかなかの厳選になった。結果、選ばれたのは無難な黒のトレーナーとスウェットパンツ。
「スラックスは脱いだら浴室乾燥かけてくるから貸して。あと靴もとりあえず入れとこ」
「ありがとうございます、ハルも」
「…靴下、今日履いてくれてたんだな」
さっき半ば強引に洗濯すると剥ぎ取った靴下は、つい最近松方の入学祝いにと選んだプレゼントの一つだった。
既に漂い続けている空気感による照れ臭さに加えて自分でそれを見つけてしまった気恥ずかしさも加わり、恥ずかしい恥ずかしいだ。
松方の髪が珍しく濡れていたりするから、変に緊張してしまっているのかもしれない。
「濡らしてしまってすみません。
ネクタイとピンも。雨が降り出して鞄の奥に仕舞いましたが一緒に入学式出ました」
一緒にって。
ああ、それでワイシャツだけだったのか。
いいのに。
鞄の奥にというのが松方らしいなとにやけそうになる頬を堪えていると、目の前でベルトに手を掛け始めてぎょっとした。
「こらぁっ」
「?」
「『?』じゃないよばか! あたしが出てから着替えろ!」
「……」
「何、だよ」
「…そう意識されると、僕の下心がどうにかなりますよ」
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