っあーーーーーーーーあ!!



羨ましいなぁおい。




「相手も好きなの? 竹永のこと」



ヤメロ、コラ、俺。止まりなさい。



「そんなような事言われているような」


「じゃー何で彼氏じゃないんだよ」



何か、むかついてくるなこれ。


彼氏じゃないなら別れろよ。


ん?


彼氏じゃないなら別れられないのか?



「それはあたしが一度——って! その話じゃない!」



いいなー、その何とかくん。


竹永にこんな簡単に『好き』とか断言されて。



「あー、ネクタイとかね。駅前にメンズ館あるじゃん」



「メンズ館。その手があったか」


「俺連れて行こーか? 女子一人じゃ入りにくいでしょ」



もうヤケだ。自分が何を言っているのか、今はちょっと冷静にナレナイ。

本心はこれ以上傷付く前に一分一秒でも早く家に帰ってリ⚪︎グフィットやりたい。無心になって汗かいてシャワー浴びて流されたい。何なら俺ごと排水口まで流してもらっても構わない。


でも、あと一秒くらいならって、竹永と話していたい。



「大丈夫。自分で行く」



少し申し訳なさそうに眉を垂らして断る竹永の頭の中は、やっぱりその何とかくんが嫌な想いをしないようにで占めているのだろう。


だよな、他の男と見に行ったプレゼントなんて、好きな人から貰うなら嫌に決まってる。



好き、も、自分で、も。



全部全部、竹永らしい。



「ごめん、竹永」



まだざわつきの残る教室で、好きな人を想った画面を映し出すスマホを手にしたままの細い手首を掴む。



「これだけ、聞かせて」



「うん?」



——こういう時に狼狽えたりしない竹永はきっと、多分、俺が今この想いを拗らせてつらいきついと感じるよりずっと深くのそれを味わったことがあるのかもしれない。



「絶対、ないとは思うけど。もしもその何とかくんに別の好きな人がいたとしたら、


竹永は、


それでも何とかくんに『好き』ってそれ云う…?」





「言わない」

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