「かっ


れし…? なのか…


と言って良いのか…


わからない…」



言葉に詰まるくらいには、あまりに珍しい竹永。


他の男を思い浮かべてそうなっているのに、かわいい、


くらいは思ってもいいよな?



「なにその顔」


若干唇を尖らせて口にする竹永が、狙って隙を見せているわけではない事くらい解ってる。


「あげたい相手はそいつだけど、この前のって、翠も知ってたのか」



この前。



講義中、突然隣の教室から地響きのような歓声というか嬌声というかが上がって、居眠りしていた奴らも全員飛び起きた。

講義そっちのけで見に行く奴もいたし、何なら先生がそうなった。


顔を赤く、息を荒くして帰ってくるやじうまたちの視線の先に居たのが竹永だとは、思いもしなかったけど。



「聞いただけ。見てはねーよ。


まー彼氏か彼氏じゃないかは別としても、竹永は好きなの? そいつの事」




あーあ。


何で頭では聞いて良いことないって解ってるのに聞いちゃうんだろ。




「うん、好き」

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