5
一国の姫を処刑した王国は、その日のうちに滅びてしまった。
隣国の襲撃か?
それとも、魔術師達の国家反逆か?
否、それは何方でもなく。
「そんな……イヤよ……嫌」
姉の遺体を抱き締め泣いていた御抱のメイドと、姉の婚約者【フィアンセ】は処刑に間に合わず、姉の遺体の前で地面を殴りつけていた。
その様を王女のセレーネが跪き、呆然と見つめている。
「お姉様……お姉様……」
歓喜の声を上げる民衆の拍手喝采。
『よくやった』
『反逆者め』
『正義の鉄槌を』
『魔女は滅びた』
彼女は望んでしまった。
「駄目よ……許さない……ふざけるな……」
見開かれた瞳が濁り、心が荒んだ彼女は口にする。
「キライ……嫌いよ……みんな、みーんな、、✕✕✕✕✕ッッ!!」
禁忌の言葉を叫んだ瞬間、その場にいた誰もが一斉に地面へと倒れた。
彼女は手で顔を覆いながら、倒れている民衆には目もくれず、静かに肩を震わせる。
「フッ……フフッ……フフフッ……アハハハハハハハッッ!!」
死体まみれの広場の中、一人残された王女は、ただただ狂った様に夕刻の紅い空の下で笑っていた。
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