第17話

彼は膝の上に両肘をつけて、前のめりに切り出した。表情が少し愉しんでいるように見える。





「ふは、竹永ちゃんって相変わらず冷めた目してんね」


「は?」



急に表情を綻ばせた瑞樹さんに、あたしは首を傾げる。




「仕事の話じゃないんですか」


「仕事の話って?」


「シフト代われとか、そんな感じかと思ってました。あと店長からの文句とか」




あたしがそう言うと、瑞樹さんは再び面白そうに笑った。






「ごめん、仕事の話じゃないんだ」




あたしには、ますます訳が分からない。





「仕事の話じゃ、ない?」


「ん」


「…なんですか」





「竹永ちゃんさ――――――……」











「え?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る