第15話

ハンガーに掛けられたままの自分の制服を持った手が、自分は外で着替える、ことを言っている。





あたしは擦れ違い際に、松方に目を向けた。


ていうか松方、今日寝癖半端ないな。まあ確かに今日は休日の昼勤なんだけど。



真っ黒な髪の所々が、盛大に手を上げている。





「松方、今日寝癖凄いね」


「、え」



言われて慌てたようにその真っ黒な髪をくしゃ、と掻く。





「寝てた?」



続けた言葉に、ス、といつもの無表情に戻った。特に無意識なんだろうけど。





「いえ、どっちかっていうと寝不足で」



「寝不足でそんななんの?」


「はい、寝返りばっか打ってたら」


「何それ」





ぷ、と笑ってあたしは更衣室に入った。













その後バイト中にキッチンを見た時、大して直ってない寝癖を西村さんに弄られている松方が目に入って、可笑しかった。

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