第13話

「……」



「竹永、タイムカードやんねーの」


「あ。やるやる」




何となく事務所に入った口で西村さんの所の椅子に腰かけようとしていたあたしは、梶に言われてそれに気付き、店長デスク脇の壁に掛けてあるタイムカードを取った。





その時、ノックもなしに扉が忙しない音を立てて開かれる。







「…は」



ドアの所に立った人物は、小さく息を整えた。






「びっくりしたー」


「どした?珍しくギリじゃん」



クマっちゃんの驚き声に続いて、制服を着終えた梶がその人物に声をかけた。





「や、別に。お疲れ様です」




そう言いながらも、あたしは背中にそいつの視線を感じた。

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