第11話

ああ、良かった。



やっぱ幻聴だったじゃん。





だって、ほら。


今 昼はいい感じの風が吹いたりなんかしてる5月半ばだし?ここは現実っしょ?



じゃあほら、やっぱ幻聴じゃん。







「ん。わかったー。んじゃ、あたし帰るわ」



軽ーくそう挨拶して、再びドアノブに手を掛けた。






「…お疲れ様です」





そう言った松方を背にして。













――――――……



今日みたいに天気が良いと自宅から自転車とばせば10分くらいで到着してしまうバイト先は、今日まで割と上手く続いている。




初めはまあ、途中で嫌になったら辞めてもいいし、なんて思ってたけど。というか友だちにはアンタはすぐ辞めるとか言われてたしね。



だからちょっと、続いてることは誇らしかったりもしているわけ。あたしの中でちょっとだけね。

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