第5話

「これ終わったら上がっていいよ」




いやいやいや。

いいよじゃありませんよくないです。



そのままゴミ袋を蹴って歩くつもりで、二階のファミレスから一階の駐車場まで下りて、ゴミ捨てに行く。




ごそごそやっている内に、同じシフト仲間が次々に出て来て先に上がってゆく。




始めるのは遅くとも、去るのは早い仲間共。





あたしも店長だと思ってゴミ袋を押し込めればとても綺麗に収まったので、少々スッキリしながら事務所に戻った。






「お疲れ様でーす」




声を掛けながら開けるドアからすぐ見える奥の店長の椅子に、その姿はない。






その代わり、手前に置かれたテーブルの上に転がっている黒が見えた。






あれ?まさかの松方?






目を疑いながらその黒に近付くと、それは少し呼吸に合わせて微動している。



あたしは取り敢えず更衣室に向かって、着替えを済ませる。

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